名刹の旅 no26 : 道成寺
安珍と清姫の物語として有名な道成寺は、和歌山県日高郡日高川町にある。
この物語は、今昔物語集などに記録され15世紀に絵が付けられ、道成寺
縁起としてまとめられた。
門前から62段の石段を登り、仁王門を通り境内に入る。境内には、本堂、
仁王門、三重の塔、護摩堂、縁起堂、宝物殿が建ち並ぶ。
本堂には秘仏千手観音が祀られており、御開帳は33年に一度だという。
★ 本堂と3重の塔
★ 本堂
★ 本堂内・秘仏:千手観音菩薩像
★ 縁起堂:宝物殿
縁起堂では「絵とき説法」が毎日数回行われており、お寺の僧侶が土佐
光重画「道成寺縁起絵巻」の写本を広げ、安珍、清姫の物語を朗々を説
法をして下さる。
道成寺参りはこの説法を聞くだけでも十分に有り難く、楽しみがあると
いうもの。
紀州道成寺にまつわる、安珍清姫の伝説は、能楽・娘道成寺・歌舞伎・
映画で誰もが知る物語りであり要約すると。
延長六年(928)道成寺の性格を一変するような事件が起きた。
福島県白河市から来た修行僧の「安珍」は大変な美形であった。
紀伊国牟婁郡真砂の庄司清次の娘「清姫」は宿を借りた安珍を見て一目
惚し、女だてらに夜這いをかけて迫る。
安珍は熊野に参拝中の身でそのように迫られても困る、帰りには必ず立
ち寄るからと約束して行ってしまう。
そして帰り道、安珍が立ち寄ることもしないので、騙されたことを知っ
た清姫は怒って裸足で追跡し、道成寺までの道の途中で追い付く。
安珍は再会を喜ぶどころか別人だと嘘に嘘を重ね、更には熊野権現に助
けを求め、清姫を金縛りにした隙に逃げ出そうとする。
ここに至り清姫の怒りは天を衝き、遂に蛇身に化け火を吹いて安珍を追
跡する。
日高川を渡り道成寺に逃げ込んで梵鐘の中に隠れ込む安珍の、鐘に巻き
付き焼き殺してしまう、このあと清姫は蛇の姿のまま入水する。
蛇道に転生した二人はその後、道成寺の住持のもとに現れて供養を頼み、
住持の唱える法華経の功徳により二人は成仏して、天人の姿で住持の夢
に現れた。
実はこの二人はそれぞれ熊野権現と観世音菩薩の化身であったのである
と、法華経の有り難さを讃えて終わる。
道成寺の創建 大宝元年(701)和歌山県最古の寺
宗派:天台宗
女性の良縁と開運を祈る寺としても有名
★ 三重塔
★ 安珍:清姫の碑
宝物殿では重文級の仏像が二十数体常設されている。仏像を
間近で拝観できることは、なによりも有難いことである。
★ 月光菩薩像
★ 毘沙門天
★ 兜跛毘沙門天