品位あり、繊細で可憐:その名は「銀覆輪」
覆輪(ぷくりん)とは、骨董品(金物)などに施さ
れている、飾りのようなものと思っていましたが、
思い違いをしていたようです。
覆輪とは、金物は勿論、衣類にも、植物にも多く使
われている用語で、外側の部分が、ほかと違う色で
縁どられているという意味でした。
そういえば着物の袖口や裾など、補強と装飾のため
に別の布で縁取ったものを覆輪と言うようですし、
植物でも、花びらや、葉の外側の部分がほかと違う
色で縁どられていれば、これらずべて覆輪とよんで
いるようです。
それで、その覆輪に金を用いれば金覆輪となり、
銀を用いれば銀覆輪となります。
では桜草の「銀覆輪」を見てみましょう。
弁先に銀(白)で覆うような色は見当たりません。した
がって、この花に この説はあてはまらないようです。
しかし刀の鍔などでは、銀覆輪を施すと、全体が
いぶされたようなしぶみが出て品位がぐんと上が
ります。
桜草も銀覆輪と銘することにより一段と品が上がる
と考えればこれもごもっともなことです。
銀覆輪は本当に素晴らしい花です。弁先が二つに割れ
桜の花びらとよく似ていますし、表側の白と裏側の
紅色が冴えて何とも言えない品を出しています。