やさしさの人気花:「陽炎」
陽炎(かげろう)は 江戸時代に作出されたと言われています。
花をみると、かがり弁で少し受け咲きになります。花の表が純白
で裏が薄鴇色となり、この色合いが花の優しさを醸し出します。
桜草には盛衰の歴史があるようです、鈴鹿冬三の書によると、流
行の初期は享保時代(1716~)から。黄金時代は、天明から天保
(1782~1843頃)。幕末は衰微の一途。現在は一大流行期だとさ
れています。やはり世の中が平穏でなければ花も見捨てられます。
私が面白いと思ったのは、江戸時代の「桜草作伝法」で、花の位
を6段階に定めたこと。
1:無極 2:玄妙 3:神奇 4:絶倫 5:雄逸
6:出群
当時にはいろんな愛好家のグループが出来、それぞれに花の美しさ
を競って楽しんだようです。また吉原の遊女も楽しんだとあります。
私は、この6段階の花を観賞する言葉に、今は大げさで使わないけ
ど、上手く言い得て妙(たえ)なるものがあると感じます。