名刹の旅 no4 : 竜安寺
アメリカ合衆国出身の日本文学者・ドナルド・キーン氏は
2008年に文化勲章受章し、その後日本国籍を取得し日本に
永住した。
彼の「果てしなく美しい日本と私」の講演の一部に、彼が
こよなく京都を愛し、なかでも竜安寺をよく訪れて、方丈
庭園の石庭を眺めたこと、特に月夜の晩、月の光に照らさ
れた石庭を見入っているあいだに、そっと膝元にお茶が置
かれたことが話される。
禅寺竜安寺は、枯山水の庭園として余りにも有名である。
幅25m奥行10m程の空間に、白砂を敷き詰めて東から5個、
2個、3個、2個、3個の合わせて15の大小の石を配置する。
この15個の石は、方丈(本堂)のどの位置から眺めても、
全ての石を見ることはできない。見えないところは心眼
で見るということにあるらしい。
石庭ー1ー
石庭 ー2-
石庭 ー3-
では順序をおって竜安寺を拝観しよう。
ー先ず山門をくぐるー
境内は 鏡容池(きょうようち)を中心にした左回りの「池泉
(ちせん)回遊式庭園」で、沿道には真紅の紅葉樹がずらり並
び、それは見事な景観となる。
また鏡容池は、背面と側面に自然の山を取り入れた借景式庭園
であり、その広がりで寺社はかなり広大な感じとなる
鏡容池は境内の南側半分を占めるほどの巨大な池で、平安の頃
は貴族が舟で遊園していたともいわれており、当時の優雅さを
しのびながら 鏡容池を通り抜けて、更に境内を北に入ると、
そこに庫裡、方丈(本堂)仏殿などがある。
この方丈(本堂)の正面に、世界的に著名な「石庭」の方丈
庭園がある。この方丈から石庭を眺めて、何かを感じるかは
人によって千差万別であろう、私はただ周囲の自然な美しさ
と象徴的な石庭の石組みが溶け合う庭園の、外観ばかりを見
ていたようだ。実家が妙心寺派末寺の檀家なのに、禅はとて
も遠いところにある。
方丈庭園で十分に時間をとり後は帰路に着く。
鬱蒼とした紅葉樹林の中を、少し進むと鏡容池の畔に出る。池
の周囲は秋の風致が広まり、樹間から見る池は鏡のように自然
を写す。こんな景観がもと来た山門まで続く。
背景の山を取り込んで、竜安寺の規模は一段と広がる。
ー山門から出るー
龍安寺は1450年に細川勝元が創建した、臨済宗妙心寺派の禅寺で、
ユネスコの世界文化遺産にも登録されている。寺の背後には第66
代一条天皇を含め5人の天皇の陵墓があるそうだが、そこまでは行
かずに観光を終わる。ただ残念なことは、春の龍安寺を未だ知ら
ないことである・・・・・・・・・