名刹の旅 no3 :「天龍寺」
季節には少し早いが、晩秋、京都の寺院仏閣は見事に衣がえを
して真紅にそまる、中でも天龍寺の庭園は大勢の観光客が押し
寄せて賑わう。
まだ現役の頃、天龍寺で一泊二日の自己啓発の研修を受けた。
カリキュラムは忘れたが、記憶をたどれば、屋根付きの廊下を
のぼり、多宝殿の中で、当時の関管長様の法話を拝聴した。
後は 座禅あり、精進料理あり、作務ありの日程だったと思う。
この研修は室内ばかりで野外に出ることはなかった。
しかし日をあらため天龍寺を訪れると、庭園が余りにも美しく、
特に春には垂れ桜、秋は紅葉と年間を通じて見事な自然がある。
- 寺社前 -
春の庭園 -1-
春の庭園 -2-
~それでは参拝を兼ねて観光とします~
天龍寺に行き、先ず玄関(庫裏・くり)に入ると、正面に置かれ
る大衝立に、どでかい達磨大師の絵が ぎょろ目をむいて迎えて
くれる、それを右手に大方丈(書院)へと入る。この大方丈の
縁側からの眺めが、画筆に尽しがたい景観となり展開する。
目前の、曹源池庭園から広がる風景は、嵐山、亀山公園の風景と
重なる、いわゆる「借景式庭園」である。
曹源池庭園 -1-
嵐山、亀山公園の風景が庭園に取り入れられる
曹源池庭園 -2-
対岸には巨石がすらり、枯山水かと思ったのだが?
曹源池庭園 -3-
京都の寺社の多くは、背景が山なので、背景に自然を取り入れ
た借景式庭園となるが、スケールの大きさでは、曹源池庭園か
ら眺める景観が秀逸ではなかろうか。
近代的な借景式庭園としては、やはり島根県の足立美術館の窓越
しからの展望だ、庭園に遠方の山を存分に取り入れ、そこに大パ
ノラマ(奥深い広がり)を演出する。
この足立美術館の庭園と、天龍寺の禅好みの庭園とを比較するこ
ともまたよしである。
更に曹源池庭園は「池泉(ちせん)回遊式庭園」で、周囲に四季
折々に変化のある樹木を配し、特に春にはしだれ桜、秋には紅葉
樹が冴えて、散策には最高のコースとなり見飽きない風景が展開
する。
回遊式庭園の紅葉 -1-
回遊式庭園の紅葉 -2-
名刹天龍寺は、足利尊氏を開基とし、夢窓疎石を開山として開
かれたの寺で、後醍醐天皇の菩提を弔うため暦応2年(1339)
に創建された。